いつかの国境を越えねば為らん
草いきれの逆上するは 吾が先か
叫ばずして踏めぬ 一歩一歩を
正確に把握するは もはや
妙香放つ かの弦月のみ
吾 行方知らず さてしも此の温い地面の急くことよ
吾が手に握るは 自身の虚空
手元違えば 我が身を制すにも止まらず
見透かし合う者の制止
いまさらに 誰を思うか
児 捨てた母のような
手 伸ばし 無限眺むる児のような
果ての見えぬ 吾が苦中に
刻々となる無音
やがて 此の草原を引きずり均す
草原の一葉 掴むとて食わぬ
小花の一輪 抜くとて愛でぬ
来たる時を足掻き待つ吾の 未だ暖かい身
未練問う青闇
空にも記し残す用事のない 清か心
さあ 最期の世の美しさの 如何なるか
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